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白描 源氏物語

【第五十二帖】蜻蛉(かげろう)

ありと見て 手にはとられず 見ればまた ゆくへもしらず 消えしかげろふ

■現代語訳
目の前にいたのに、自分のものにはできなかった。見えたかと思えば行方も知れず消えてしまった。あの蜻蛉のように。(薫の君)

■鑑賞
浮舟の君が失踪しました。
宇治の山荘は上を下への大騒ぎです。
「姫さま、早くお帰りくださいまし。人でも鬼神でも、どうか我が姫をお返し下さいませ」
乳母(めのと)は泣き叫び、母君も亡骸(なきがら)さえないことを嘆き悲しみます。 書き置きから入水と直観した侍女たちは、秘事が露顕しないうちに、野辺の送りを済ませます。 悲報を受けた薫の君は、浮舟を放置したことを後悔する一方、匂宮との密通のことを思うと恋慕の情も冷めた思いで、悲しみから病に伏せた匂宮をお見舞いに訪ねては、心ない皮肉をおっしゃたりします。
蓮の花の盛りの頃、明石中宮(あかしのちゅうぐう)が亡き源氏の大殿と紫の上をご供養する、法華御八講を盛大に催しになります。宮中に参内した薫の君は、女一の宮を垣間見て、千々にあやしく心が乱れます。小宰相(こざいしょう)の君がお持ちした紙に包んだ氷に、
「いいえ、持っていとうはない。雫が困りますもの」
と、お答えになるそのお姿の、優雅でお美しいこと。
お邸に帰り、女二の宮に同じ衣装をまとわせ、氷も持たせてみますが、同じ姉妹とも思えません。結ばれぬ愛、かなわぬ恋に薫の憂愁は深まるばかりでありました。