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白描 源氏物語

【第四十一帖】幻(まぼろし)

「大空を かよふまぼろし 夢にだに 見え来ぬ魂(たま)の 行方たづねよ」

■現代語訳
大空を自在に通うという幻術士(まぼろし)よ。夢にさえ現れて来ぬあの人の魂の行方を捜し出しておくれ。(光源氏)

■鑑賞

新年を迎え、六条院にも春が訪れますが、源氏の大殿は、弟ぎみの螢宮としかお会いになりませんでした。 紅梅が咲き、桜が咲けば、春を愛した紫の上が思われ、幼い匂宮は紫の上の遺言を守り、花を気にかけています。 七夕も、菊の花も、雁の音も、 ただ、紫の上と過ごした時間を思い出させ、源氏の大殿の追慕の情はつのるばかりです。 (せめて夢の中だけでも会いたい)と、空に紫の上の幻を追い求めるばかりなのです。 須磨の流謫(るたく)時代、紫の上と交わしたお手紙を、 すべて焼き捨てさせになったのは、その年の暮れでした。 新しい年にはご出家になる決意をお固めになったのです。 「大晦日の夜の鬼やらいではどんなことをしてやろう」と、はしゃぐ匂宮さまをご覧になるのも、 これが最後と、何かにつけこらえがたいお気持ちです。 源氏の大殿は愛する人々とのお別れをそっとお告げになるのでした。