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白描 源氏物語

【第四十帖】御法(みのり)

「いと恋しかりなむ。まろは、内裏(うち)の上よりも宮よりも、ははをこそまさりて思ひきこゆれ。 おはさずば、心地むつかしかりなむ」

■現代語訳
もし紫の上さまがいなくなったりしたら恋しくてならないでしょう。 私は父帝よりも母宮よりも(義母である)紫の上さまを大事に思っていますのに。いらっしゃらねば機嫌を悪くします。

■鑑賞

紫の上のご病状は思わしくなく、何度もご出家を願い出たのですが、 源氏の大殿はついにお許しになりませんでした。 三月、紫の上は法華経千部の供養を二条院で催されます。 それは明石の君、花散里、六条院の皆様との別れでした。 お心残りは、お孫さまたちのことで、その成長を見ずに命を終えるのが残念なのです。 おんとし五つの匂宮さまは、紫の上を実の母のようにお慕いになっていました。 二条院のお庭には、今年も紅梅と桜が美しく咲きほこり、 「私がいなくなったら、このお邸に住んで、花を大切にお世話し、 また花の咲く折りにはお忘れなくお楽しみあそばせ」 とおっしゃると、匂宮さまもこっくりとうなずくのでした。 その年の秋、悲しい別れがやってきました。 夜の明けきる頃、紫の上は源氏の大殿に見守られ、秋の露が消えるように息をひきとったのでした。