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白描 源氏物語

【第三十七帖】横笛(よこぶえ)

わづかに歩みなどしたまふほどなり。
この筍(たかうな)の櫑子(らいし)に、何とも知らず立ち寄りて、いとあわたたしう取り散らして、食ひかなぐりなどしたまへば・・・

■現代語訳
薫さまもよちよち歩きをなさる頃になりました。
たけのこを盛った器に、何であるのか分からず近づいて、せわしなくとり散らかしては、かじったりなどもなさいます。

■鑑賞

柏木さまが亡くなって一年が過ぎました。
忘れがたみの薫さまはかわいらしく成長しています。 目に映るものすべてが新鮮で何でも口に入れたがる無邪気なお姿に、源氏の大殿は、わが身の老いをお感じになるのでした。
その年の秋、夕霧さまは亡き柏木さまの一条のお邸に、落葉の宮さま、その母さまの一条御息所(いちじょうのみやすどころ)を お訪ねになりました。 形見の横笛を贈られたその夜、柏木さまが夢枕に立ち、
「この笛を自分の子孫に伝えたいのだ」
とお告げになります。(柏木には子はいなかったはずだ。もしや・・・)
夕霧さまは六条院をお訪ねになり、薫さまが亡き友の面影をやどしているのにお気づきになります。 ご不審に思った夕霧さまのご質問には、源氏の大殿は何もお答えにならず、
「その横笛は自分が預かるべきものだ」
とだけおっしゃいました。