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白描 源氏物語

【第二十三帖】初音(はつね)

年月(としつき)を まつにひかれて 経(ふ)る人にけふうぐひすの 初音(はつね)きかせよ

■現代語訳
「長い年月、あなたにひかれて過ごして参りました。新年の今日、うぐいすの初音-初便りをお聞かせくださいまし」
(明石の君)

■鑑賞

新年を迎えて、六条院の春の御殿は、この上もなく華やぎます。 おんとし八歳を迎えた明石の姫さまに、実母の明石の君から、鶯をとまらせた美しい五葉の松の作り物と、お便りが届きました。 (実母であるにもかかわらず、長い間、姫と離ればなれにしてきたとは。罪作りなことをしたものよ) 源氏の殿は姫さまに、ご自分でお返事をしたためさせます。 「ひきわかれ 年は経れども うぐひすの 巣だちし松の ねをわすれめや」(おわかれして、ずいぶんたちますが、うぐいすも巣立った松をどうして忘れることができるでしょうか)
姫君の返歌に嬉しさのあまり思い乱れる明石の君の、その白い小袿(こうちぎ)に、あでやかな黒髪の映えてお美しいこと。夕方、冬の御殿に渡られた源氏の殿は、そのまま明石の君のところにお泊まりになってしまします。 夜の目も寝ずにお待ちし続けた紫の上の心中はやはりおもしろくなく、源氏の殿に返事もなく、無言のまま非難をされます。正月二日は、新年会の饗応にかこつけて、紫の上とお顔を合わせないようにお過ごしになりました。