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源氏物語【8】王朝の香り〈後〉

【8】王朝の香り〈後〉


香りは貴族のステイタス〈後〉



◆香りのゲーム


「梅枝(うめがえ)」の巻の最初に、
薫物合せ(たきものあわせ)のシーンがあります。

明石の姫君のために薫物の調合を思いついた源氏は
六条院の女性たちに材料を配り、
おのおの二種類の香を作るように指示します。

女性たちは、早速鉄臼(かなうす)を使って
選んだ材料を擦りつぶし始めます。

源氏は仁明(にんみょう)天皇秘伝の調合方法を用い、
紫の上は八条式部卿(仁明天皇の皇子)の秘法で
ひそかに調合を行います。

源氏は自作の香を庭の遣水(やりみず)のそばに埋めさせておき、
薫物合せの当日に掘り出させます。
土に埋めておくのは熟成させるためです。

源氏が「この夕暮れのしめりにこころみむ」と言っているのは、
空気が湿っているほうが違いがわかりやすいということでしょうか。


「梅枝」では蛍宮が無難な評価をしてお茶を濁していますが、
本来の薫物合せは左右のチームに別れて勝ち負けを決めました。
歌合せに似たルールだったようです。

『源氏物語』にはほかに絵合せも出てきますが、
これらは物合せと呼ばれ、
菊合せ、貝合せ、扇合せ、虫合せなど
さまざまなものがゲームの対象になりました。



◆香りのまといかた


練香には六種(むくさ)の薫物といって、
基本となる六種類の調合法がありました。

・梅花(ばいか)
・荷葉(かよう)
・侍従(じじゅう)
・菊花(きっか)
・落葉(らくよう)
・黒方(くろぼう)

研究者によりますと、
「梅枝」のエピソードは二月のことなので、
秋をイメージする菊花や落葉は作られなかったようです。
季節に合わせるのが常識だったのでしょうか、
それとも光源氏の香りの美学だったのでしょうか。


さて、香水スプレーもなかった時代、
平安貴族はどのように香りをまとったのでしょう。

代表的なのが伏籠(ふせご)。
香炉を格子状の木枠で覆い、
そこに着物をかぶせて香りをしみ込ませます。

髪の毛に香りをつけるには香枕を使いました。
箱形の枕の中に小さい香炉が入っているのですが、
けむいのを我慢して香りをつけていたのかも。
貴族のお洒落も楽ではなかったようです。



今月の☆光る☆雑学


【蘭奢待】

正倉院宝物の中に黄熟香(おうじゅくこう)という香木があります。
聖武天皇の時代に唐から伝わったといわれる名香で、
「蘭奢待(らんじゃたい)」と名づけられています。
蘭には「東」、奢には「大」、待には「寺」の字が含まれ、
三つで「東大寺」になるというのです。

命名者は不明だそうですが、足利義政、織田信長、徳川家康など、
時の権力者が少しずつ切り取った跡があり、
憧れの超高級ブランド香木だったことがうかがえます。