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源氏物語【6】黒髪のケア〈後〉

【6】黒髪のケア〈後〉



一日がかりのシャンプー〈後〉



◆シャンプー後はいとをかし


シャンプーは一日がかりだったわけですが、
洗い終えるとさすがに気分爽快だったようです。
清少納言はこう書いています。



かしら洗ひ化粧じて香ばしう沁みたる衣など着たる
ことに見る人なき所にても心のうちはなほいとをかし

髪を洗ってお化粧をし、香ばしい薫き物のしみ込んだ着物を着る。
とくに見る人がいない所でも心の内はとても楽しい。(枕草子 二十九段)


ところで、『源氏物語』の「東屋」の巻にこんな場面があります。
匂宮が夕方に浮舟を訪ねると、折悪しく洗髪のさなか。
応対した大輔はこう言います。



げにおはしまさぬ隙々にこそ例は済ませ
あやしう日ごろももの憂がらせたまひて、今日過ぎなばこの月は日もなし
九、十月はいかでかはとて、仕つらせつるを


いつもはお留守の間に済ませています。このごろ妙に面倒がられて
いましたので、今日を過ぎたら今月は日がありません。
九月、十月にどうしてできようかと、今なさっておりまして。


浮舟は髪を洗うのに日を選んでいたのです。
気が向いたときにシャンプーできるわたしたちには想像しにくい話ですね。
しかも九月と十月は避けるものだったなんて。



◆日常のヘアケア



シャンプーに使ったのは灰汁(あく)や米のとぎ汁でした。
どれくらい汚れが落ちたのかわかりませんが、植物性だったわけです。
つや出しには水油という液状の油を使っていて、これも植物性。
さらにこまめなブラッシングも欠かさなかったといいます。

シャンプーはふた付きの湯呑みのような容器に入れて保管していました。
「若菜上」に「ゆするつき」とあるのがそれで、
「ゆする」は米のとぎ汁、「つき」は入れ物のこと。

唐匣(からくしげ)という脚つきの箱には
白粉や香、耳かき、毛抜き、
紫檀(したん)の櫛(くし)などを入れていました。
絵巻物などを見るとどれも豪華なものばかり。
さすがは貴族といったところでしょうか。



今月の☆光る☆雑学


【めざし・振分け・みづら】

幼児の髪型は「めざし」といい、
前髪を目のあたりの長さにそいでいました。
少し大きくなると髪を左右に分けて垂らし、
肩のあたりで切りそろえました。
これが「振分け髪」で、男女共通の髪型でした。

男子は元服前になると髪を長くのばし、
両耳のところで束ねる「みづら」を結いました。
成人して結髪するための準備だったと考えられます。
光源氏の少年時代を描いた「桐壺」の巻にも出てきます。