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源氏物語【18】方角の禁忌〈後〉

【18】方角の禁忌〈後〉


恵方詣と方たがえ〈後〉



◆方たがえが生んだ恋

「帚木(ははきぎ)」の巻で、
源氏は方たがえのために紀伊の守の邸を訪れます。
そこに偶然来あわせていたのが空蝉(うつせみ)こと伊予の介の妻。
まだ年若い後妻でした。

みそめた源氏は夜を待って忍び込み、
強引に思いを遂げます。しかしその後は…。


再び近づこうとした源氏から、空蝉は巧みに逃れていきます。
空蝉の弟小君(こぎみ)を手なづけても無駄でした。
17歳の若者に人妻の心がわかるはずもないと思いますが、
源氏のストレートな行動にも驚きます。


《源氏と空蝉の贈答歌》

帚木の心を知らで園原の 道にあやなく惑ひぬるかな(源氏)

近寄ると見えなくなるという帚木のようなあなたの心を知らないで、
むなしくも迷ってしまったものだ



数ならぬ伏屋に生ふる名の憂さに あるにもあらず消ゆる帚木(空蝉)

とるに足らない粗末な家に育ったというわたしのつらさ
あるようでない帚木のように消えてしまいましょう


帚木というのは箒(ほうき)を立てたような姿をしていて、
遠くからは見えるけれど近づくと見えなくなってしまうといいます。
何の木のことでしょうね。

そういう不思議な木の名前を、ふたりは歌に詠んで贈り合いました。
方たがえが生んだはかない恋。しかし12年後、
ふたりは逢坂山(おうさかやま)で再会します。(第十六帖『関屋』)



◆紫式部一夜の恋?

作者の紫式部にも方たがえのエピソードがあります。
それは『紫式部集』にあるこんな歌。
詞書には「方たがえに来た人の、
少しはっきりしないことがあって帰っていった早朝、
その人に朝顔の花を贈るというので」とあり、



おぼつかなそれかあらぬか明け暗れの 空おぼれする朝顔の花

それだったかどうか気にかかります
夜明けの暗い中でぼんやりした朝顔の花は


わかりにくいですね。書き直してみましょう。


昨夜わたしのところに忍んできたのはあなただったの?
朝方に暗いところでとぼけた顔をしていらっしゃったけど


「空おぼれ」というのは「そらとぼけ」。
では「はっきりしないこと」って、何のことでしょう。
夜の闇に紛れて何か声をかけたのでしょうか、それとも…。


朝顔につけて贈った歌の返事は遅れたようです。



返し、手を見わかぬにやありけむ
いづれぞと色わくほどに朝顔の あるかなきかになるぞわびしき

返歌:筆跡が見分けられなかったんじゃないかしら
どちらからだろうと判別しているうちに、
朝顔が見る影もなくしおれてしまい、心苦しいことです


これも書き直しましょう。


どなたからのお手紙かと考えているうちに
朝顔がしおれてしまいました。あなた誰?


紫式部は妹といっしょに住んでいました。
方たがえの男には、筆跡を見ても
姉の文字なのか妹の文字なのかわからなかったようです。

いや、それにしても何があったのか…。



今月の☆光る☆雑学

【丑寅】

オニというのは本来霊的な存在で姿の見えないものだそうですが、
「鬼」という漢字が宛てられ、絵に描かれるようになると
牛のような角を生やし、虎の皮のパンツを穿いた姿が定着しました。

これは鬼門とされる方角が丑寅(うしとら=艮)にあたるため、
絵師がそれをヒントに考え出したスタイルといわれています。