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  源氏物語メールマガジン >> 【20】引用の宝庫

  【20】引用の宝庫
 


       紫式部 発想の源泉〈後〉

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◆清少納言は無粋な女?
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源氏の言葉にある「すさまじき例に言ひ置きけむ人」は
清少納言を指すといわれています。

写本によってちがいがありますが、
『枕草子』の「すさまじきもの」の段に
「おうなのけさう しはすの月夜」とあるからです。

父親の元輔は冬の月を素晴らしいといっているのに、
その娘は老女の化粧と同じで興ざめだなどという。
「もののあはれ」がわかっていない人だと。


「御簾巻き上げさせたまふ」も『枕草子』を意識したと思われます。
清少納言は中宮定子に「香爐峯(こうろほう)の雪いかならん」と問われ、
意を察して御簾を巻き上げて差し上げたと、
自慢げに書き記しているのです。

この一言で「心浅い人」がだれなのかを
特定しているように思えませんか。


──────────────────────────────────
◆白氏文集の影響
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当時さかんに移入されていた漢籍のなかで、
とくに愛読されていたのが『白氏文集(はくしもんじゅう)』でした。
言ってみれば平安時代の海外ベストセラー。
清少納言の自慢話も『白氏文集』にまつわる逸話です。


『源氏物語』は『白氏文集』からの引用も多く、
最初の巻「桐壺」は『長恨歌(ちょうごんか)』に
強く影響されていることが知られています。

『長恨歌』は唐の玄宗皇帝と楊貴妃の恋を扱った長編詩。

桐壺帝が身分の低い更衣に夢中になってしまうこと、
政(まつりごと)がおろそかになることなど、
いくつかの設定を借用しているといえるでしょう。


「桐壺」には『長恨歌』を描いた屏風絵を毎日のように見ていたとあり、
『長恨歌』の言葉そのものも語られます。


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朝夕の言種(ことぐさ)に
羽をならべ枝をかはさむと契らせたまひしに
かなはざりける命のほどぞ尽きせず恨めしき
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朝夕の口癖に 比翼(ひよく)の鳥となり
連理(れんり)の枝となろうと約束なさっていたのに
思いの通りにならなかった人の命がいつまでも恨めしかった


「比翼連理(ひよくれんり)」という四字熟語にもなっていますが、
これは『長恨歌』の次の一節から採られています。


在天願作比翼鳥  天に在りては 願わくば比翼の鳥と作(な)り
  在地願爲連理枝  地に在りては 願わくば連理の枝と為らんことを


玄宗と楊貴妃が七月七日に誓い合ったという言葉。
比翼の鳥は翼がつながった二羽の鳥、
連理の枝は枝がつながった二本の木をあらわします。



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             今月の☆光る☆雑学
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【白氏文集】

唐の詩人白居易(はくきょい)の詩文集『白氏文集』は
平安朝の文学に大きな影響を与えました。
 その後江戸時代に至るまでさまざまな文学作品に引用され、
 インスピレーションを与えています。

ことに『長恨歌』や『琵琶行(びわこう)』は民衆にまで愛され、
俳句や川柳にも出てくることがあります。
上記「比翼連理」はひと頃常套句のように使われていました。
 現在でもまれに結婚披露宴のスピーチで使う人がいますが、
 はたして通じているのやら。


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