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  源氏物語メールマガジン >> 【10】貴族のスイーツ

  【10】貴族のスイーツ
 

 

         くだもの今むかし〈後〉

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◆宴会用のくだもの
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『源氏物語』では蹴鞠(けまり)の後の酒宴に
さまざまなくだものが登場します。


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次々の殿上人は簀子に円座召して
わざとなく椿餅 梨 柑子やうのものども
さまざまに箱の蓋どもにとり混ぜつつあるを
若き人びとそぼれ取り食ふ
さるべき乾物ばかりして 御土器(かはらけ)参る
(源氏物語 若菜上)
───────────────────────────────
それ以下の殿上人は簀子(すのこ)に丸く席をとり
思い思いに椿餅(つばいもちい) 梨 柑子(こうじ)のようなものが
さまざまに箱の蓋の上に盛り合わせてあるのを
若い人々はふざけて取って食べる
相応な干物ばかりで酒宴が始まる


酒宴にフルーツが出てきます。

柑橘類の栽培は奈良時代に始まっていて、
橘(たちばな)、甘子(こうじ)、柚子(ゆず)、
枳(からたち)などが知られていました。

ほかの果実では桃、梨、木通(あけび)、郁子(むべ)、柿、梅、
枇杷(びわ)、棗(なつめ)、苺(いちご)、茱萸(ぐみ)など。
難読漢字ばかりになってしまいましたね。


椿餅は最古の和菓子といわれるもの。
餅粉に甘葛をかけて丸め、椿の葉二枚で上下をはさんだものらしく、
道明寺の祖先と言えそうな気もします。


乾物は今でいう乾き物。
蒸鮑(むしあわび)、干鯛(ほしだい)、焼鍛(やきだこ)のほか
楚割(すわやり)、干鳥(ほしどり)などが代表的でした。
楚割は鮭を細く切って干したもの、
干鳥は雉(きじ)肉を干したものです。

保存食でもありますが、宴会では必需品。
都の西には干し魚専門店があったそうですから、
一般的に食べられていたのでしょう。


──────────────────────────────────
◆唐菓子
――――――――――――――――――――――――――――――――――

平安時代のスイーツは、椿餅のような「和菓子」のほか
中国から製法が伝わった唐果物(からくだもの)がありました。

八種唐菓子と呼ばれるベスト8をみると
米粉や小麦粉を練って形を作り、油で揚げるのが共通点。
形や味付けによって名前が異なったようで、
中にはシナモンを用いたものもあったとか。

「薄雲」で明石の姫君が食べていた「御くだもの」は
これらの唐菓子だったと推測されています。


また清少納言が藤原行成から贈られたという餅餤(へいだん)も
唐菓子だったようで、鵞鳥(がちょう)や鴨(かも)の子を
雑菜とともに煮て餅で包み、四角に切ったものだったといいます。
(枕草子 第百三十三段)

ちなみに煎った餅と書くせんべいも唐菓子でした。
小麦粉をこねて焼いたり油で揚げたりするもので、
米を使う煎餅はまだ作られていなかったそうです。



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             今月の☆光る☆雑学
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【主菓餅】

宮中の副食や調味料を担当する大膳職(だいぜんしき)には
二名の主菓餅(くだもののつかさ)が置かれていました。
果物や餅の製造に携わる役人です。

かれらは諸国から貢進される果物を管理し、
菓餅所(かへいしょ)という施設で
菓子を作らせるのが仕事だったと考えられます。


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