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  【7】王朝の香り
 

 

        今回は平安朝の香りの文化を見てみましょう。

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◆クレオパトラも楊貴妃も
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クレオパトラの魅力はその美貌だけでなく、
教養の深さと、えもいわれぬ香りにもあったといわれます。

伝説によれば室内を膝も埋まるほどのバラの花で満たし、
麝香(じゃこう=ムスク)などの香りも漂わせていたとか。
香りでカエサルやアントニウスを魅惑したクレオパトラ、
彼女は香りの演出の先駆者かも知れません。


東洋に目を転じると、
楊貴妃が住んだという「沈香亭」は芳香を発する木材を柱に使い、
壁には香料を塗り込めてあったと伝えられます。

中国では身体から芳香を漂わすために
「体身香」を服用することがあったといい、
さまざまな香料(ハーブを含む)を薬のように精製していたようです。
体臭から変えてしまおうというわけです。


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◆香りは貴族の身だしなみ
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日本の香りの文化は奈良時代にまで遡ります。
鑑真などの僧がさまざまな香木や香料をもたらしたといわれ、
当時は宗教的な用途や薬としての用途が中心だったようです。
仏事でお香をたくのはそんなに古いことだったのですね。


しかし平安時代になると、
香りは貴族の趣味やファッションに採り入れられるようになります。
室内に香りを漂わせ、衣服にも香りをしみこませて楽しんだのです。

正倉院にも収められているくらいですから、
舶来の香木・香料はたいへん貴重なものでした。
それを日常生活で楽しむのは
身分の高さや豊かさを示すことでもありました。

儀式や催し物があるときには
大量に香がたかれたことが、
当時の絵巻や物語などからもわかります。



『源氏物語』に
「追風(おいかぜ)なまめかしく吹きとほし」(朝顔)とありますが、
「追風」とはすれ違ったときにふっと香る匂いのこと。
そのために香をたきしめることを「追風用意」といいました。

すれ違うほんの一瞬のことですが、
貴族はそんなところまで気を配っていたのです。


平安時代の香は練香(ねりこう)です。
さまざまな香料を調合して練り合わせたもので、
薫物(たきもの)とも呼びます。

材料は植物質、動物質あわせて数十種類あり、
それらを細かく砕いて蜜や梅肉などで練りました。
材料の組み合わせや配合のバランスのほか
香を何日埋めておくか、どの方角に埋めるかなどが
秘法として伝えられました。

練香のできばえはその人のセンスや教養を示すとされ、
貴族たちは競ってオリジナルな香を工夫したのです。


(→後編につづく)


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