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  【4】王朝の色彩
 


     カラフルな平安ファッション〈後〉

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◆季節に合わせた色選び ──────────────────────────────────
『源氏物語』には着物の色について細かな描写が見られます。
細かすぎて想像するのも大変なくらいですが、
よく読むと季節ごとに色合いを選んでいたことがわかります。
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桜の細長、山吹などの、折にあひたる色あひの なつかしきほどに重なりたる裾まで(竹河) ─────────────────────────────────
季節は春。姫君は「折に合う」色合いを身につけていたのです。
では秋にはどのような色合いが選ばれたのでしょう。
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朽葉(くちば)の唐衣(からぎぬ)、薄色の裳に 紫苑(しをん)、萩など、をかしうて居並みたりつるかな (枕草子 百四十三段) ─────────────────────────────────
平安のカラーコーディネーションのキーワードは
襲の色目(かさねのいろめ)です。
これには三種類あって、
袷(あわせ)の着物の表と裏、重ね着するときの順番、
布を織るときの縦糸と横糸の組み合わせをいいます。
わかりやすいように袷の表裏で見てみましょう。
桜……表:白/裏:赤
桃……表:薄紅/裏:萌黄
山吹…表:朽葉/裏:黄
菖蒲…表:萌黄/裏:濃紅梅
紫苑…表:紫/裏:蘇枋
萩……表:紫/裏:白
白菊…表:白/裏:萌黄
椿……表:蘇枋/裏:赤
(配色は諸説あるうちの一例です)
このような組み合わせが何十種類もありました。
季節外れだったら大恥をかくことになり、
女性たちは無頓着ではいられなかったのです。
女性たちは個人でお洒落を競いあうだけでなく、
グループ同士で競うこともありました。
何かの催しがあるとき、自分たちのグループがほかより目立つように、
グループとしてのカラーコーディネーションを考えたのです。

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【出衣・出車】
平安時代の貴族女性は、
夫以外の男性に姿を見せることはありませんでした。
『源氏物語』の「桐壺」には、元服した光源氏が
藤壷と直接対面できなくなったことが記されています。
御簾(みす)や几帳(きちょう)で隔てられていたのです。
顔は見せなくても、女性は御簾や几帳から衣裳の裾を見せました。
これが「出衣(いだしぎぬ)」です。
外出するときは牛車の簾から裾や袖口を見せ、
お洒落をアピール。こちらは「出車(いだしぐるま)」と呼びます。
ちらっと見せるだけのお洒落。奥ゆかしいですが、
男性はそれだけで恋心を燃え立たせ、
女性は競争心をあおられたりしたようです。
【ゆるし色】
『源氏物語』にはたびたび「ゆるし色」という言葉が出てきます。
これはだれでも着ることのできる色をいい、
薄紫や薄紅がそうだったようです。
身分の低い人にほうびとして布や装束をあげるとき、
その人が着られない色をあげるわけにはいきませんでした。
この言葉がプレゼントの場面によく出てくるのはそういう理由なのです。
それに対して着てはいけない色が「禁色(きんじき)」です。
天皇や皇族など、高貴な身分でなければ着られない色が決められていました。
「色ゆるされたる」というのは特別に
禁色を着ることを許可されたということ。
この言葉も物語には出てくることがありますね。



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