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白描 源氏物語

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【第十五帖】蓬生(よもぎふ)

【第十五帖】蓬生(よもぎふ) 

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古(ふ)りにたる御厨子(みづし)あけて、 唐守(からもり)・藐姑射(はこや)の刀自(とじ)・
かぐや姫の物語の、絵にかきたるをぞ、 時々のまさぐり物にしたまふ。
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ■□■ 現代語訳 ■□■  
(末摘花は)古びた戸棚を開けて、唐守・藐姑射の刀自・ かぐや姫の絵物語などを、その時々のおひまつぶしに していらっしゃいます。  
■□■ 鑑賞 ■□■
その頃、源氏の殿に忘れ去られ、埋もれた姫君がいらっしゃいました。 かの末摘花の姫君は、もとより源氏の殿の足も遠のきがちだったところに、 須磨退去後は顧みられようもなく、そのお暮しは困窮をきわめ、 召使たちも散り散りになり、お邸も荒れ果てるばかりでした。 さらに、国守(こくしゅ)の北の方になった叔母君が、宮家の一族に 昔悔られた意趣返しに零落した姫君を侍女にしてしまおうと、 西国の任地に連れていくべく、あれこれ責めたてます。 しかし、末摘花は亡き父宮のお邸を守り、 源氏の殿だけをけなげに信じ続けて、応じようとはしません。 そんなこととは露知らぬ源氏の殿は、花散里(はなちるさと)を 訪ねる道すがら、荒れ果てたお邸のそばを通りかかり、 ようやく末摘花を思い出されました。 その変わらぬ心に胸打たれた源氏の殿は、以後末摘花をねんごろに扱い、 二年後、二条の東院にお迎えになりました。